行くべき聖地・パワースポット

出羽三山(月山・湯殿山)神社で思った未来に続く神仏習合の心

出羽三山神社

出羽三山ツアーでは東北の聖地、出羽三山神社・月山神社・湯殿山神社を巡ります。
ツアーは何度か行っていますが、ある年の出羽三山ツアーは、近代が封印し忘れてしまったカミ・ホトケを求めるツアーと言えたのかもしれません。

その年は「月山卯年御縁年」ということで、12年に一度の特別な年に月山神社に参拝することができました。ツアーには卯年生まれの方がいらっしゃったため、代表して玉串をしていただきました。

ツアーでは、先達の山伏・星野さまの元で死装束の白装束を身に付け、羽黒山、月山の修験道体験をしました。本当の修行とは、1日13時間ぐらい歩くことなのだそうです。羽黒山で3時間弱、月山で6時間ぐらい歩きました。

山伏の星野さまのあとを歩くのは、思った以上にキツかったかもしれません。特に修験は自然が相手のため、自分の精神・体力を相応に整えておくことが必要だと実感しました。
今回のツアーでも修験道の聖地の1つである出羽三山から多くのことを学びました。

仏教と神道と修験道

月山

修験道は、最も日本的な仏教と言われています。

山岳に対する畏れや思い。自然に対する畏れや思い。

これに仏教とりわけ密教思想や、天台の本覚思想を取り込んで修験道は成立しています。
かつて明治政府による「神仏分離」「廃物毀釈」という政策にもとづいて、神々と仏は切り離されました。

明治5年には神仏習合の修験道は存在することを許されず、修験道廃止令が出ました。

しかし、以前の長い歴史のなかでは多くの寺院と神社は共存し、神々は同時に仏・菩薩でもありました。それが「神仏習合」の時代でした。

日本書紀には、用明天皇のくだり、「天皇は仏法を信じ、神道を尊ぶ」であるとされています。

その表現からすると、かなり昔から仏教も神道もほぼ同列に評価されていたことがわかります。

神道は、自然が先にありき。人々がそこに神仏を見る。体感しながら自然の中に神を見るという原始信仰が始まりです。

神道と仏教は、分け隔てなく結びついて日本の歴史を動かしてきたわけです。酒田市にある即身仏が祀られている海向寺の本堂は、まさに神・仏・修験道の世界!日本人の信仰の原点がここにあるのだと思いました。

出羽三山での祈り

出羽三山神社

山伏・星野さんの祈りの言葉をツアー中に何度も聞きました。

その祈りの中には、祝詞もあれば般若心経もあります。

山伏の本尊や、祈祷や、唱え言や、お札の符などもきわめて雑多であると言われています。

修験道については、そのなかには神祇信仰も仏教信仰も陰陽道信仰もとりいれられていますが、それは庶民の宗教的要求に合うように変容して摂取されているそうです。

したがって修験道は、日本人の宗教すべての要素を包含しているということができます。
ツアーでは、山伏の星野さんが東日本大震災で亡くなられた方々の魂が浄化されますように祈られていました。

月山は太古から死霊が集まる山として信仰されていたため、死者供養の位牌、石碑、卒塔婆が並んで多く並んでいます。

羽黒山にある三神合祭殿では、神仏習合の正式参拝。そして出羽三山をを開山し、羽黒修験道を広められた蜂子皇子に感謝を伝えました。

「再生」のご神徳を持った湯殿山神社。特に、東北そして日本の再生復興を祈りました。

熊野や吉野山が世界遺産として認められた理由

金峯山寺

神仏習合の聖地といえば、熊野や吉野山があります。

どうしてその地が世界遺産として認められたのか、ご存知でしょうか?

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」が、他の世界遺産と違うのは、熊野三山・吉野・大峯・高野山というそれぞれ異なる宗教の聖地を中心にして参詣道が結ばれていることです。

神仏和合こそが、日本人独特な信仰の営みであり、世界に誇るべき固有の文化であるということが世界に認められたのが、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録です。

いわゆる神道、修験道、仏教(真言密教)という異なる宗教が道で結ばれていて、それぞれに参詣する人たちが自由自在に移動をするということは、世界のどこにも存在しない、日本の現象です。

違う宗教が平和に共存すること。世界では宗教が元の戦いがある中、とても重要なことです。相手をつぶそうとすると、自分もいずれつぶれる。日本人はそのことを知っていて、共存することの大切さを知っていました。

日本各地の聖地や、熊野・高野山・吉野に足を運び、これが日本人が歴史を超えてもち続けてきたものなんだと氣付くことが大切です。

そしてわかる人にしかわからない。実際にその場所に来て、自身で問いかけ、自身でしか感じないものがあります。

日本人が還えるべき拠り所があるとするならば、そういうところが大事なのではないか。今、修験道の活動が復活しているそうです。

この大きな流れが神社会と仏教会の和合を助長させたと言われています。
そしてこの流れが全国に波及していくと言われています。

日本の山は、実はほとんどが山伏が開いた霊地。それなのに明治以降、非常に理不尽な扱いを受けているのが現状です。

修験道の修行で大切なこと。それは、「神がおられる、仏がおられることを前提に歩くこと」なのです。

今、日本人に必要なこと

大斎原

今、日本人の歴史を振り返る、大切なときに来ているのだと思います。

明治時代以前のものを、近代以前のものの中からもう1度、日本人は探し出さないといけないのではないでしょうか。

戦後はさらに、日本人は大切な価値観を急速に失っていきました。

山には神さまがいらっしゃるから大切にしようとした修験道。

そんな山も私たち人間の都合で大切な木を切ってしまったり、山や自然を破壊してしまった。地球環境を悪化させています。

戦後、日本は発展し、便利になったかもしれませんが、私たちの心は本当に幸せになれたといえるでしょうか。

人間の便利・便利が、地球環境を壊している。それが大地震であり、原発問題にもつながっているのだと思います。

天変地異は、神の苦悩といいます。神さまが好んで起しているのではないといいます。「大切なことに早く氣づいてくれよ」と、神さまが人間に望んでいらっしゃることといいます。

そうしたときにもう一回戻るべきものは何かと考えると、明治よりも前の日本人の信仰や価値観といった「歴史」である様に思えてならないのです。

出羽三山を巡りながら、今までの歴史を振り返り日本のこれからの行く末について考えていました。

どのようにして生きたらいいかという生きる知恵は、頭だけで考えた今の知識ではわかりません。

過去の歴史を見て、それまでの経験を知ると、その結果、現在どうやって生きたらいいかという知恵が湧いてくる。ですから、歴史を捨てた国というのは滅びるんです。

『神道と日本人』 葉室頼昭著 春秋社

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